さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―
「その浅葱色の羽織・・・さては御主等、新選組かっ!?」
近藤さんの一喝で飛び出てきた藩士が発狂した。
如何にも武士らしい、立派なちょんまげをして、袴を履いて。
一階や二階の奥から出てきた人数だけを数えても、ざっと10数名はいる。
丞と島田さんの調査によると、相手は20人超。
「まったく、近藤さんも自ら存在を知らせるなんて、しなくても良いことを。ただでもこっちが圧倒的不利だってのによ。」
「本当に。こっちは5人で斬り込んでんだからな。」
藤堂さんと永倉さんがけっと言い捨てる。
とても、本心から言っているようには見えないけれど。
私に言わせてみれば、その言動とは裏腹に二人はとても楽しそうだ。
もっといえば、私だって同じ。
面白い。
この高揚感、そしてあの人を斬る感覚が蘇ってくる。