さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―




二階に登ると、8畳くらいの部屋が二つあるのが見える。





最も廊下に敵が多くて、そこまで行けそうもないんだけれど。





「あず、ここまでが限界だ。ここからは刀を握ってもらうよ。」





「分かってます。」





出来るだけ、平然を装う。





近藤さんと沖田さんは私に配慮して、極力人を殺さなくてもいいように、と試行錯誤してくれた。





いざ人手が足りなくなったときだけ、お願いすると。





温かい気遣いだと思う。





見ず知らずの私にここまでしてくれるなんて。





でも、本当はそんな気遣いいらない。





私だって、私の足でこの地に立ちたいの。





沖田さんと、同じ世界に。





うずうずと焦れてくる気持ちに、セーブが利かなくなってくる。





自分でも怖いくらいに、この状況を楽しんでる。





早く命のやり取りがしたいと。




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