さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―
「浅葱色の羽織を着ているわけではないが、お前も幕府の者か?」
「そうだけど。」
じりり、矛先を向けられているのが分かる。
四方八方から浴びせられる、どす黒い殺気。
囲まれた、と思った瞬間に刀を振り上げる。
「うわあああ!」
世界が暗転する。
暗転?
いや、赤く染まったと言うべきか。
「こ…こいつも敵だ!殺れ!!」
その声と同時に、ひゅんと頭を何かが掠めた。
パチン、と髪を結っていた髪留めが切れて、髪の毛が解ける。
髪を伸ばしておくんじゃなかった、と思った時には既に遅し。
解かれた髪で視界が遮られた瞬間、腕に衝撃が走った。