さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―



私も、できることなら殺さずに捕獲したい。




いずれにしろ、良い未来が待っているとは言えないけれど、命さえあればどうにかなるかもしれない。





みんなに幸せになって欲しいと願うのは、やっぱり私が現代人だからなのかな。




構えていた刀を一度卸して、じっと藩士を見つめる。




揺らいでいるのが目に見えて分かる。




お願いだから、自負すると言って。




そう心で問いかけると、一人の藩士が刀を腰に据え戻した。




「私は、自負しまする。」




やりきれない悔しさが全面ににじみ出ていたけれど、自負すると言った選択は間違っていないと思う。




裏切りに近いけれど、私に言わせてみれば、何より自分の命が大切なのはみんな同じだから。





一人が自負すると、辺りにいた藩士がぞろぞろと両手を挙げた。
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