さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―
楓
「私、ちょっと見てきます!近藤さんたちは先に屯所に戻ってて下さい!」
「あっ、一之瀬くん!」
待つんだ、という近藤さんの声が聞こえたけれど気にしていられない。
沖田さん、大丈夫だよね?
敵は全員捕まえたはずだもの。
だけど────
「沖田さん!!」
閉ざされた襖を強引に開けると、そこには異質な空気が漂っていた。
殺意とか、そういうのとは少し違うけれど。
沖田さんの矛先は、確かに人に向かっている。
誰?
月がちょうど雲に隠れて、顔がよく見えない。
なんとなく捉えられる口元は、薄ら笑いを浮かべていて、余裕そうに微笑んでいる。