さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―
「篠原くん…」
まだ幼さは残るけれど、柔らかく微笑むその顔はやっぱり美しい。
ちょっと見ない間に、背が伸びて色気も増した気がする。
間違いなく、篠原くんだ。
「覚えててくれたんだ、姫。」
今、なんて?
その言葉に耳を疑う。
姫って、言った?
「この子に関わらないでくれるかな。」
すっと沖田さんが私をかばう様に、篠原くんとの間に入ってくれた。
はあはあと上がっている肩を見る限りだと、沖田さんの体力は限界に達している。
「沖田くんには、関係のないことだよ。邪魔するなら、斬るけど?」
ぱっと表情が変わる。
瞳の奥で何かが青白く光って、殺意が芽生える。
沖田さんの肩越しからは良く見えないけれど、確実に私が知っている篠原くんとは違う。