さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―
「篠原くん、私姫なんかじゃないわ。」
疑いすら持たせないように、強く言い放つ。
だって、私に身分なんかあるわけがない。
それに、本当ならばここには存在するはずのない人間なんだもの。
「あずみ、キミは確かにこの時代に存在するよ。名を変えて、だけど。」
私が、この時代に存在する?
ありえない、ありえないよ。
だって、私と翼だけは真っ白だもの。
歴史なんてまるでない。
「くだらないことばかり言うね。」
沖田さんの言葉でハッと我にかえる。
そうだよ、本当にくだらない嘘。
自分に言い聞かせて、沖田さんの羽織をぎゅっとつかむ。