さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―






残された部屋で、ぽかんとしながら今あった出来事を思い出す。




本当に、嘘みたいな時間だった。




残された楓の葉がなければ、あれは幻覚だったと言われても信じられる。




でも、確かにこの楓がそれを現実だと証明している。




「沖田さん・・・今のは・・・」




ぼろぼろと落ちる言葉を必死に繋ぐ。




うまく文になっているかわからないけれど。





「俺も信じられないよ。最も、真実が何かもわからないけれど…」





沖田さんは楓の葉をそっと拾い上げて、くるくると回している。





その様子を見て、私と同じ感覚なんだろうと思う。





あの幼さの上にある妖艶さは、間違いなく篠原くんだと思うけれど…





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