さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―
「折原、楓くん…か。」
聞いたこともない名前だな、と考えると、やっぱりこの時代のひとじゃないのかな、という結論に辿り着いてしまう。
また来るって言っていたけれど、本当に来たらどうしよう。
姫、なんて思い当るところがまったくないし。
ああ、駄目だ。
考えれば考えるほど疑問しか生まれてこない。
「屯所に戻ったら、近藤さんに話してみよう。」
「はい…」
気をしっかり持たなくては、とは思うものの、落ちてくるのは覇気のない声。
「あず、何があっても俺が守るから。」
「沖田さん…」
さらり、惜しげもなく告げられた言葉に胸が熱くなる。
まるでマンガみたいだな、と思うけれどどうしようもなく嬉しい。
好きな人が自分を守ると言ってくれて、もっと気持ちが増すのは私だけじゃないと思う。