さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―
「可愛いですね。名前とかあるんですか?」
斉藤さんが差し出そうとしている真っ白い猫は、真ん丸な瞳でこっちをじっと見ている。
その可愛さに思わずキュンとなる。
猫、好きなのよね。
犬よりも断然猫派だし。
猫を見てうっとりしていると、斎藤さんは口を開いた。
「シロ。」
そのまんまですね!
…と突っ込みたかったのを堪えて、シロを抱こうとした。
「うげっ!」
シロは私の手に渡ると同時に、その長い綺麗な後ろ足で私の顔を蹴っ飛ばして斎藤さんの元へと帰って行く。
ここまで動物に嫌われるとは・・・。
確かに現代にいたころも、普段大人しい犬が何故か私にだけ噛みついてきたり、人懐っこいウサギが私からだけ全力で逃げて行ったという様に動物からは決して好かれなかった。
翼から動物は性格の悪い人には寄ってかないんだよって馬鹿にされた思い出もあるし。
「斎藤さんはきっと心が綺麗だから動物に好かれるんですよ。」
シロにちょっかいを出しながら斎藤さんに話し掛けた途端に、斎藤さんはまるで首が据わっていない赤ちゃんのようにこくりとと首を折った。
「ど、どうしました?」
焦って声を掛けてみるけれど反応がない。
ヤバい!
誰か幹部の人を呼んできた方がいいのかな!?