さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―
誰か呼んでこよう。
そう思いながら草履を脱いでいたら斎藤さんが口を開いた。
「待て、大丈夫だ。ただ・・・」
斎藤さんの顔がみるみる赤く染まっていく。
やっぱり大丈夫じゃない!と思って斎藤さんの顔をのぞき込む。
「そのような事を言われたのは初めてだったから、少し照れた。」
そう言ってますますしおれてしまう。
照れた?
あの、斎藤さんが?
思わず笑いがこみ上げて、にやにやが抑えられない。
この人はもっと無愛想で、感情がないような人だと思っていたけれど、本当はこんなにも純粋。
真っ直ぐ過ぎて自分を表現出来ないだけなんだろう。
人は見かけじゃないって言うけど、本当にその通りだわ。
「でもそう見られたことが嬉しい。ありがとう。」
「い、いえっ!あの、思ったことをそのまんま言っただけで・・・。」
そんなにに正直に言われると、こっちが恥ずかしくなる。
何言ってるんだろう私たち。
すっかり、斎藤さんのペースに乗せられてしまっている。
「おいおい、なんだおめぇら。」
「一ちゃん、なかなかやるぅ。」