さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―
二人で肩を並べて京の町を歩く。
「…人がいねぇな。」
「こんなにいるよ。―――長州藩士は、
ね。」
その言葉に思わず苦笑する。
京の治安の悪さは予想以上だった。
町の住民と思われる人は、一人も外を出歩いていない。
代わりにいるのは、藍染の着物を着た長州藩士ばかり。
「俺たちみたいなのが外を出歩いていたら、一発で斬りかかられるよ。」
確かに、そうかもしれない。
それだけ治安は悪くなっている。
篠原の言葉の意味を理解した時には、すでに前方から来る藩士が刀を抜こうとしていた。
「これが、現実だよ。」
これが。
これが、1864年の現実。