さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―
「翼に付いてこいとは言わないから、その辺で身の安全を確保していて。」
「いや、俺も行くよ。」
篠原に負けないよう、強く言い返す。
刀を抜くのは初めてだけれど。
正直、躊躇している自分もいる。
それでも、同じ目線で世界を見てみたいんだ。
あずと同じ、赤の世界を。
「…刀を抜きなよ。」
篠原の一言で鞘に手を添え、一気に引き抜く。
冷や汗が背中を伝う。
ここからはもうすべてがスローモーションのように見えた。
「行くよ!」
刀をいっぱいに振り上げる。
懐かしいな、この感覚。
そんなことを考えながら、振り下す。
…つもりだったのに。
「…ッ…」
見事に藩士は俺の刀をかわし、代わりに突き出された刀は危なく俺の脇腹を掠めていた。