さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―
刀の重さに振り負けたか?
「だから言ったでしょ?」
「ぎゃあああああ!」
その言葉と同時に、篠原が藩士に斬りかかる。
「う、そだろ?」
見えたか?
いや、目に捉えきれなかった。
ただ見えたのは、美しく舞う鷹のような…。
「北辰一刀流だよ。」
北辰一刀流―――ほくしんいっとうりゅう。
確か、伊東甲子太郎もこの剣術と薙刀術の流派だったはず。
幕末の頃、何百流あった古武道の流派の中で最も新しい流派といわれている。
「いかなる敵に対しても、攻めて攻めて敵の太刀に乗って切り落とし、その起こりを打つ、か。」
「どうしてそれを!?」
「言っただろ、未来から来たんだから、この時代のことは全て把握しているって。」
俺の言葉に、篠原はそっか、と呟いた。