さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―
「これ以上町にいるのは危険だ。高台寺に帰るよ。」
「あ、ああ…。」
駆け足でさっき来た方向へ走る。
藩士たちの冷たい視線を感じながらも、脇目を振ることなく。
いや、視線が合ったらまた斬り合いになるだろうから。
―――どうしてもさっきの出来事が信じられない。
俺の刀がかわされた、なんて。
完璧に決まったと思ったのに、逆に切り込まれていたのは間切れもなく俺。
危うく殺されかけていた。
もし、篠原が助けてくれなかったら?
そう考えると背筋がゾッとした。