さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―
治療
「佐々木さん、薬どうぞ。」
「…ありがとう。世話を掛けるな。」
烝に受け取った冊子を見ながら、書かれてある薬を一人一人に渡したり、包帯を巻いていく。
自分の意志で引き受けた仕事だから、ちゃんとやり遂げなければと思うけれど…。
「痛ッ!」
「す、すみません!」
生々しい傷跡の手当ては容易なものではなかった。
今まで幹部の人とばかり関わってきて、隊士さんたちの状況が分からなかったけれど、いざ治療の場に立つとその壮絶さに気付かされる。
「これは長州の奴にやられたんだ、畜生、今度会ったらただじゃおかねぇ…!」
垣間見る殺気。
こちら側の世界は決して甘い世界ではなかった。
今更気づくなんて、遅すぎるかもしれないけれど本当にそう思う。
隊士さんは幹部に比べて、やっぱり腕の差は歴然としているから、けが人は後を絶たないみたいだった。