さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―


なんて強情。




土方さんは頭を押さえて何処かへ行ってしまった。




私も抜け出したいけれど、あいにく私の部屋に行くには2人の間を通らなければならない。




うう、つくづく私って不運だわ。





「左之ちゃん・・・まさは左之ちゃんが居なくなってからもずっと、左之ちゃんだけを好きだったんだよ?」





目に涙をいっぱいに溜める姿は、本当に可愛いと思った。



それに、まささんは初恋の相手。




原田さんも、そんな人に言い寄られたら断れないだろう。





そう、思ったのに───






「帰れ。お前に好かれたって、俺にとっては迷惑でしかないんだよ。」





ドンとまささんの肩を押しのけて、ズンズンとこちらに向かってくる。




まささんはその衝動でしりもちをついてしまった。




「原田さん、あの・・・」




脇を通り過ぎる原田さんに声をかけようと思ったけれど、思わず口を噤む。





だって、原田さん、今にも泣きだしそうな顔をしているんだもの。




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