さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―
嵐
「きゃああ!」
ぼうぼうと赤い炎が燃え上がる。
「まささん、息吹き過ぎですよ!」
「あ~!まさちゃんはもういいから洗い場を頼むよ!」
一番恐れていたことが、こうして現実に起こっている。
台所には嵐が吹き荒れていた。
私と同じ、女中として働くことになったまささんは、大方の予想通り家事なんて出来るはずがなかった。
それに加えて、このキンさんとのやり取り。
見ているこっちが呆気にとられてしまうほど壮絶だった。
「アンタ料理したことないのかい?」
キンさんは呆れ顔でため息をつく。
「住み込みの女中たちが全部やってくれてたから、まさが台所に立つ必要なかったもん。」
それに対し、まったく反省の色が見えないまささん。
ああ、まったくこの人達は・・・