さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―
「まさも普通の家に生まれたかったなぁ。」
ポロっとまささんの本音がこぼれる。
話からいくと、やっぱりまささんの家は身分の高い家なんだろう。
その行動や言葉の印象が強くて考えてもみなかったけれど、立ち振る舞いがすごく綺麗。
きっと幼いころからの習わしなんだろうな。
普通の家に生まれたいと望むのは、原田さんのことがあるからなのかな。
両思いだった二人が結ばれなかったのは、身分の違いゆえ。
「おい、まさちゃん魚焦げちゃうよ!」
キンさんが慌てた様子でまささんを呼ぶ。
うっ…
ぷーんと焦げくさい臭いが鼻につく。
まささんが担当だった炭焼きにした魚は、あいにくにも炭と化していた。
「あちゃー。勿体ないけど、これは捨てるしかないですね。」
黒焦げのそれを箸でつまむ。
「まさは、何してればいい?」