さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―






「まさも普通の家に生まれたかったなぁ。」





ポロっとまささんの本音がこぼれる。




話からいくと、やっぱりまささんの家は身分の高い家なんだろう。




その行動や言葉の印象が強くて考えてもみなかったけれど、立ち振る舞いがすごく綺麗。




きっと幼いころからの習わしなんだろうな。




普通の家に生まれたいと望むのは、原田さんのことがあるからなのかな。





両思いだった二人が結ばれなかったのは、身分の違いゆえ。







「おい、まさちゃん魚焦げちゃうよ!」





キンさんが慌てた様子でまささんを呼ぶ。





うっ…





ぷーんと焦げくさい臭いが鼻につく。





まささんが担当だった炭焼きにした魚は、あいにくにも炭と化していた。





「あちゃー。勿体ないけど、これは捨てるしかないですね。」





黒焦げのそれを箸でつまむ。






「まさは、何してればいい?」





< 57 / 186 >

この作品をシェア

pagetop