さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―
「ふうーっ!これでひとまず終了ですね。」
いつもより三倍の時間がかかったけれど、なんとかすべて終わらせて、土間の淵に腰かける。
まささんは出来た料理を見に行く、といったきり台所から未だ戻ってきていない。
文字通りキンさんと二人きり。
「ああ。とんだ飛び入りに余計に時間がかかっちまったけどな。」
「あはははは…」
相変わらず毒舌なキンさんに思わず苦笑する。
この話をまささんが聞いていたらどうなっていたのやら。
考えただけでゾッとする。
「きゃあああ!!」
「今度はなんだい!?」
台所から聞こえてきたのは、紛れもなくまささんの叫び声。
嫌な予感がする…。
慌ててキンさんと一緒に駆けつけると、其処にあった風景に体温が奪われた。
無惨にこぼれている味噌汁の残骸。
その横には顔を両手で覆ったまささんの姿。
それを見れば、今ここで何があったのか一瞬で察しが付く。
「ちょ、ちょっと覗いてみただけなのっ!」
まささんはその場にしゃがみこんでしまった。
一言謝れば済む問題なのに。
「まささん、少しは…」
「いい加減にしろ!」
少しは状況を読み取ってください、と言おうとしたのをキンさんに遮られる。
まさに鬼のような形相のキンさんは、じろりとまささんを威圧する。