さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―
「そっか、珍しいな。」
これが正しいと思う。
まささんだってワザとやったわけじゃないんだし、私だって初めは失敗ばかりだった。
その度にキンさんがフォローしてくれたから、ここまでやってこれたも同然。
だから、今度は私の番。
そう、思ったのに…
「お前、嘘つくのすっげぇ下手。」
原田さんは目じりをいっぱいに下げて、愛おしそうに私を見ている。
自分でこんなこというのはおかしいけれど、本当にそうとしか言い表せない。
その表情を見ていたらどうしようもなく罪悪感に責められて、思わず視線を反らす。
「あ、あの…」
駄目、目を見ることができない。
いつかは突き放すことになるのなら、傷は浅いうちの方がいい。
「まささんはっ、原田さんの初恋の人なんだよね?ここまで会いに来てくれたってことは、身分なんて関係なしに原田さんを好きでいてくれたからだよね。良かった、二人の恋が実って・・・」
「それ、本気でいってんの?」
「当たり前じゃ・・・ッ!?」
一体、何が起こっているの?
目の前には、原田さんの綺麗な顔。
この冷たさは、どこから伝わってくるの?
────唇?
私原田さんと・・・キス、したの?