さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―
「よろしくお願いします。」
低く響くその声に、隣に立っていたキンさんの肩がびくっと上がる。
「キンさん…」
「う、うるさいよ!」
顔を真っ赤に染めて目を伏せる姿は、本当に綺麗。
女の人は恋をすると綺麗になるっていうけれど、本当にそう。
キンさんが斎藤さんを想っているとき、まささんが原田さんを想っているとき、まるで別人のような顔つきになる。
私も、そうなのかな?
沖田さんを想うときに、少しでも綺麗になっていられたらいいと思う。
「斎藤くんも異常は無いようだね。」
「ありがとうございます。」
そういえば、斎藤さんが体調を崩したり怪我をしているのは見たことがない。
当然と言うべきか、流石と言うべきか。
「斎藤は自分に厳しすぎるところがあるからね。本当のところ、どこかしら欠陥を抱えてるんじゃないかって心配なんだよ。」
キンさんはふうっとため息をついた。
そうなの、かな?
私から見たら斎藤さんは、全く持って健康だと思っていたけれど、そうじゃないのかもしれない。