さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―
「・・・原田のせいで話が反れたが、とにかく巡察で見つけ次第斬っていい。ただし、あくまで人目に付かんようにな。」
俺のせいかよ、とぼそり呟いた原田さんはお構いなしに、土方さんは話を続けた。
「それから、組のこれからについてだが。ある字を掲げて戦おうと思う。」
ある、字?
そうだ、思い出した。
新選組を題材にしている作品には、必ずと言っていいくらいの確率である文字が入れられていた。
確か・・・
「“誠”」
口を開いたのは、近藤さん。
みんなが一斉に近藤さんに視線を移すと、にっこりと微笑んだ。
「誠と書いて“まこと”と読む。いい字だと思わんかね?」
近藤さんは事前に書いておいたであろう、“誠”と書かれている半紙を取り出した。
墨で書かれた、いわゆる習字というやつ。