さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―

覚悟






「どうですか…?」





「うーん、今はまだそこまで進行していないようだね。」





良かった。





その言葉にそっと胸をなでおろす。





そんな私とは対照に、松本先生は顔を顰めた。




「しかし、このまま労咳のことを隠しておくことは許せんな。」





「でも、先生。沖田さんは…」





「あず。」



言葉を遮られる。




沖田さんは近藤さんたちに迷惑を掛けたくないと黙っていたのに、それを公にしろと?





「どうして、ですか?」





「労咳は非常に感染力が強い。それに加え、治療方法が未だ見つかっていないんだ。そんな病が、この屯所内で広がったとしたら?」





もしこの屯所内で労咳感染者が続出したら?




ただでも人員不足なんだから、これ以上隊士が減ったら“誠の為に”なんて言ってい場合じゃなくなる。




それは、新選組の終わりを意味する。





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