さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―
あたかも人間の命のように、わずかに残っていた桜が呆気なく散る。
今までこの桜と同じように、まるでそれが存在しなかったかのように消えていく命を、私は何度も見てきた。
沖田さんがもし、死んでしまったら?
彼もまた、同じなのかな?
ううん、沖田さんは私がそうさせない。
「沖田さんの居場所は、ここにあります。」
にっこり、笑いかける。
沖田さんの不安が残らないように、最上の笑みを。
「…ありがとう。本当に感謝してるよ。あずがこっちの時代に来てくれてよかった。」
来てくれて良かった。
どうしよう、それだけで涙が出る。
「私も、来てよかったです。」
切実にそう思う。
現代で生きていたら、こんな気持ちを知ることはなかっただろう。
どうしようもなく溢れ出す、この気持ちを。