さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―


「あずをここに呼んだのは俺なんだよね?」





突然、ぴしゃりと空気が張り詰める。




私がここに来るときに聞いた、優しく切ないあの声。




「確信はないですけど、確かに沖田さんでした。」





頭に響くあの声は、今の沖田さんにぴったり一致する。





あのころは沖田さんが私を呼んだこと、憎くてしょうがなかった。




平穏な生活を奪われたことを、何度も悔やんだ。




けれど、今はそれで良かったと思う。



それほど沖田さんへの想いは大きくなっている。




現代を・・・すべてを失っても、傍にいたいと思った。





「もし、あずに辛い思いをさせるきっかけを作ったのが俺なら心から謝るよ。」





申し訳なさそうに目を伏せる。




「そんな顔しないで下さい。私は此処にいること、沖田さんが呼んでくれたこと、幸せに思ってますから。」 





本当にそう思う。




あの選択を一度たりと後悔はしていない。





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