さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―
「この時期・・・幹部が抜けるのは下への揺らぎの影響になる。暫くは様子を見よう。」
未だ動揺を隠せない様子で、近藤さんは頭を掻いた。
下への揺らぎ。
長州ら新政府軍が怪しい動きを見せる今、隊の揺らぎは命取りとなる。
それを近藤さんは恐れている。
「分かりました。」
沖田さんはふっと笑って、近藤さんに頭を下げた。
それを見て私も頭を下げる。
「一之瀬くん、総司のことを頼んだぞ。」
部屋を出ようとしたとき、そんな声がかかる。
沖田さんのことを頼むと。
「分かりました。」
強さを跳ね返す。
沖田さんは私が助けると、病気がわかったときからずっと決めていた。
揺らいではいけない。
私が不安そうにいたら、沖田さんも近藤さんも不安は募る。
誰も不安になんてさせない。