さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―
「近藤さん、今頃悩み込んじゃってるだろうな。」
「かも、しれないですね。」
部屋を出て、再び縁側に腰を落とす。
「近藤さん心配性だしね。」
「でも、隔離にならなくて良かったですよね。」
私の言葉ににっこり微笑む。
これで隔離なんてなったら、沖田さんは発狂していたかもしれない。
新選組の最盛期を迎えるこの時期に、隊長であるにもかかわらずじっとお留守番なんて。
「あずのおかげだよ。」
「!」
どんどん体温が上昇していくのが分かる。
な、なななななんで!?
「沖田さん、手・・・」
「なんとなく、こうしたかった。」
悪戯に笑う。
そんな顔されたら、離して下さいなんて言えないじゃない!
私の右手の上にそっと重ねられた、沖田さんの左手。
右手から温かさが伝わってくる。
もう、駄目。
どうしようもなく沖田さんが愛しい。
好きよりもっと、愛してる。
愛してるなんて思う日がくるとは思わなかったな。
そっと沖田さんに視線を移す。
「・・・ッ・・・」
失敗だ。
私、自意識過剰なこと考えてる。
沖田さんが、私と同じ気持ちなんじゃないかなって。
だって、ほら。
私のこと、愛おしそうに見てる。
この目はキンさんやまささんをみていたから、どんな気持ちがあるかなんとなくわかる。
もしかして、本当に────?