さよなら、いつか。②―幕末新選組伝―
「馬鹿言うんじゃないよ!なんであたしが斎藤なんか…」
「俺がどうかしたか?」
げ。
まさかとあろうことに、キンさんの隣には斎藤さんが立っていた。
相変わらず、不愛想に顔を顰めて。
「な、なななんでもないよ!」
「そうか?俺の名前が出てきたから、どうしたものかと思ってな。」
斎藤さん、鋭い!
あのキンさんが圧されているなんて、本当にさすがとしか言いようがない。
「あっれぇ~?キンさん、もしかして~?」
まささんがそれを察したように、甘ったるい声を出す。
女の勘は当たるっていうけど、誤信ではないなと思う。
それにしても、それぞれが新選組隊長に想いを寄せているなんて、まったく私たちはどうしようもないな。
当の斎藤さんは、わけのわからないような顔してるけど。
斎藤さんの鈍感さには、さすがに目を疑うものがある。