ゾンビのヒットマン
ベッドから上半身を起こした瞬間、正面には姿見の鏡がある。

その位置は朝起きた瞬間、私の顔がはっきり見えるよう、ミリ単位で調節している。

鏡の位置も、やはりいつも通りだ。


視線を真横、90度左に向けると、年代物のテレビがある。

私が生まれた頃に製造された、ブラウン管のテレビだ。

今度報酬が振り込まれたときは、まず新しいテレビを買うコトにしよう。


そこから右に視線を移すと、本棚がある。

並んでいるのは、全て洋書だ。

実際に読むワケではない。

ただ置いてあるだけで、イケてる男子を演出出来る。

それが、洋書の魔力だ。


さらに右、ベッドから見ると、ちょうど左前方45度になる位置に、部屋の扉がある。

そしてその扉のすぐ側に、マスクを付けたグレーのスーツ姿の美女が正座している。

やはり変わらない。

いつもと何一つ変わらない私の部屋だ。


「……って、誰だ!」


どういうコトだ!

なぜ私の部屋に女がいる!

女がいればそれはある意味最高のインテリアと言えるが、そんなモノはイ○アにもニ○リにも売っていなかった!
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