ゾンビのヒットマン
この女、私のファンである割に、私への配慮が足りない。

どうも、私が死んでも構わないというスタンスのような気がしてならない。

死んだら相手の呼吸も聞こえなくなるというコトがわからないのだろうか。

相手の息づかいが聞こえなければ、何も興奮しないというのに。

あまり声を出し過ぎるのも良くない。

興ざめだ。

やはりふいに漏れる、溢れだした声というものが素晴らしい。

それこそが更なる興奮を呼び、興奮の連鎖を起こす。


それにしてもこの女、なぜ先程から“ゾンビパウダー”などという言葉を普通に使っているのか。

それが誰にでもわかる言葉だと思っているのだろうか。

例えば“ローション”であれば誰にでも通じる。

だが、“ゾンビパウダー”で通じるのは、ごく一部の優秀な人間だけだろう。


「なるほど、“ゾンビパウダー”。≪ビンゾ製薬株式会社≫の商品で、まだ市販はされていない。人間を“生きたままゾンビにするコトが出来る”という魔法の粉か。つまり“我が社の”と言っていたお嬢さんは、≪ビンゾ製薬株式会社≫の社員というコトか」
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