ゾンビのヒットマン
「……なんで“ゾンビパウダー”はそんなに詳しいんですか!」


「今回の仕事は、≪ビンゾ製薬株式会社の社長を殺すコト≫。ターゲットとなる会社を事前に調べておくのは、普通だと思うが」


「真面目! さっきまであんなにとぼけてたじゃないですか! あぁ、もう。興奮するチャンスだったのに」


興奮。

その言葉に私は弱い。

やはり人は興奮しなければ生きていけない。

人生において最も重要なコトは興奮。

そう断言しても問題ないだろう。

だが、どこで興奮するかは人それぞれ違う。

女の蔑む目で興奮する人間もいれば、女の恥ずかしがる顔で興奮する人間もいる。

そして私のように、そのどちらでも興奮する人間もいる。


さて、この女の発言を信じるなら、私は女が興奮するチャンスを奪ってしまったコトになる。

それは不本意だ。

ここは女が興奮するポイントを、さりげなく探ってみるコトにしよう。


「どうすれば興奮していただけるのだろうか?」


「決まってるじゃないですか! 相手の知らないことを自慢げに語る。で、相手の“この人、すごい知識量だな”っていう視線! その視線のために生きている!」
< 24 / 70 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop