ゾンビのヒットマン
「“仕事後のかき氷”……だろうか?」


『……なぜこの状態で君にかき氷を御馳走しなければならないのだ』


「シロップはブルーハワイでお願いしたい」


『……御馳走しないと言っているはずだが。まさか、頬に当てられているのが氷だと思っているのではないだろうな』


「…………“図星”だが?」


『……これはナイフだ!』


ナイフ!

その単語を聞いた瞬間、私は全てを理解した。

つまり私の左頬を必要に叩く何かはナイフであり、今ターゲットを殺せなければ、このナイフで私が殺されるのだ!


「ボスにひとつ、お願いがあるのだが……」


『何だ? 聞くだけは聞いてやろう』


「殺さないでいただきたい」


『無理だ』


交渉は決裂した。

だが、そんな話をしている間にもターゲットは歩を進めており、人混みにまぎれて見えなくなってしまった。

ピンクの看板の店のどこかに入ったのだとしても、どこの店なのかわからない。
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