私淑彼女
根暗少女の受難
ピシッとした制服は、着慣れてもついつい鏡の前でポーズをとってしまう。


高校に入学した記念に買って貰った可愛い定期入れをポケットに入れ、家を出る。


「良い天気……」
柄にも無くそう思えるのは、きっと中学とは環境がガラリと変わったからだろう。
青く眩しい空を見ながら、少女は「行って来るね」と言い、すぐに隣の家のチャイムを鳴らした。



ガチャリとドアが開き、少しくたびれた制服に身を包んだ男の子が出て来た。
「おはよう」
「ん。おはよ」
彼は素っ気なく挨拶を返し、行くぞとスタスタと歩き始める。

「待ってよ……」

少女は苦笑いしながら彼の後を追う。


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