私淑彼女
「いつも素っ気ないよね。酷いや」
「これでも随分優しくしてるつもりなんだけど」
「そうかな?」
「っていうかさ、いい加減友達と学校行きなよ」
他愛の無い話の中、彼がそう言うと、少女は少し気まずい顔をして「私、友達居ないから……」と寂しそうに呟いた。


しゅんと頭を下げ、前髪がパサパサと微かに音を立てて顔を覆う。
それを見た少年は「う、嘘吐くなよ。理子ちゃんはこんな明るいんだから」と慌てて引きつった顔で取り繕うとするが、少女は顔を横に降り、「良い。一沙は悪くないから」と薄く笑いながら言った。

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