私淑彼女
Ⅰ
草薙学園。
元女子高で、昨年から共学校になったが、やはり男子よりも女子の人数の方が多い。
理子がこの高校を選んだのは、同性が少しでも多い方が学校もいくらか生活しやすいと踏んだからだった。
しかし、小さい頃からの人見知りはなかなか直らず、理子は本当に友達という友達が居なかったのだった。
「はあ……」
「おはようっ」
教室の窓側で一番後ろの席。今日は天気が良く太陽の光が当たって気持ち良い。
と、突然目の前が暗くなる。
上を向くと、にこにこと笑っている少女が立っていた。
「お、おはよう」
突然挨拶され、どもってしまったが、彼女は全く気にする様子は無く、鞄から教科書を出し、無造作に机の中に放り込んでいく。
彼女は田中佐紀。
席は隣で、明るいクラスの中心にいるような子。
「ねえねえ、昨日のテレビ見た?」
「なんの?」
「ダンディ特集だよ!え、もしかして志水さん見てない……?」
「……見てない……」
「そうだろうと思ってビデオ録っといたの!」
「……有り難う……」
ギュッと手にビデオを持たされ、ちゃんと見てよ!と笑う彼女に理子は何も言わずに微笑む事しか出来なかった。
元女子高で、昨年から共学校になったが、やはり男子よりも女子の人数の方が多い。
理子がこの高校を選んだのは、同性が少しでも多い方が学校もいくらか生活しやすいと踏んだからだった。
しかし、小さい頃からの人見知りはなかなか直らず、理子は本当に友達という友達が居なかったのだった。
「はあ……」
「おはようっ」
教室の窓側で一番後ろの席。今日は天気が良く太陽の光が当たって気持ち良い。
と、突然目の前が暗くなる。
上を向くと、にこにこと笑っている少女が立っていた。
「お、おはよう」
突然挨拶され、どもってしまったが、彼女は全く気にする様子は無く、鞄から教科書を出し、無造作に机の中に放り込んでいく。
彼女は田中佐紀。
席は隣で、明るいクラスの中心にいるような子。
「ねえねえ、昨日のテレビ見た?」
「なんの?」
「ダンディ特集だよ!え、もしかして志水さん見てない……?」
「……見てない……」
「そうだろうと思ってビデオ録っといたの!」
「……有り難う……」
ギュッと手にビデオを持たされ、ちゃんと見てよ!と笑う彼女に理子は何も言わずに微笑む事しか出来なかった。