伝わるコトバ
「せんぱーいっ!!
帰りましょっ♪
ってあれ?
悠センパイ先輩は?」
「ただっちに雑用頼まれて今数学準備室だよ。
もう終わると思うから待ってれば?」
「ですねー♪」
俺の隣に座る夏美ちゃんにずっと気になって事を聞く。
「夏美ちゃんてさー。
亮介の事好きなんだよな?」
「はいっ♪」
「でもチョコも好きだよな?」
「はい!
でもチョコの好きと先輩の好きは違いますよ?」
「えっ!?
そうなん??」
「当たり前じゃないですかー。
チョコとは付き合えません」
「じゃあ毎日毎日ガチの告白を浴びせてるって事?」
「はい!!」
「すげぇなー
普通恥ずかしくてそんな言えねぇもんじゃね?」
「そうですねぇ…
でも、気持ちって言葉にしなきゃ伝わらないじゃないですか」
少し寂しげな表情に、何かあったんだなと察した。
「あたし、中学生の時好きな人がいたんです。
でもあの頃のあたしは今と違って好きとか、付き合ってなんて言えなかったんです」
「意外だな」
「そうですか?
ずっと好きで、でも気持ちを伝える勇気がなくて。
ただ毎日その人を見つめるだけでした。」