グッバイマイオールドフレンド
いや、かまわないさ。それより、なんとか
都合をつけて、出るようにしたいな。

 俺も、出ようと思うよ。それじゃ、また。

 おう、できれば青日会でな。


 旧友のかずはなにも知らなかった。
 冷静に考えてみたら、かずは高校を出てす
ぐに、町を出たから、わかるはずもない。
 かずには、時間をとらせてしまったが、久
しぶりにはなせたことが、嬉しかった。
 いつだって、あの頃に戻れるのが、旧友の
旧友たるゆえんだ。
 僕は、結局、はがきの参加の上にまるをつ
けて、出した。
 急遽都合が悪くなってしまう可能性もある
のだが、その時は、丁重にわびて欠席しよう
と思った。
 正直、ろざんの事が書かれていなければ、
欠席するつもりだった。

 一月後。

 僕は、町で一番おおきなホテルへ向かった
。とはいっても、町で一件しかない古くから
建っているホテルである。ただ、作りはけっ
こうおしゃれで、良い意味で、古さを感じさ
せる作りをしているホテルだ。
 受付で、青日会のことをたずねると、三階
の広間がその会場だと教えてくれた。
 エレベーターに乗っている間も、同級生に
会うことの、わくわく感より、ろざんの事が
頭をめぐっていた。
「プーン」
 エレベーターが止まり、ドアが開いた。
 広間への廊下は、とても長く感じた。
 広間の入り口前では、受付が待ち構えてい
た。
「坂本です」
 それだけ言って、招待状を渡した。
 参加のはがきを出した後、届いたものだ。
「しばらく見ないうちにこんなにおおきくな
っちゃって」
 受付の今野が、わざと腰を縮めて、みあげ
るようにのぞく。
「先週あったばかりだろ」
 僕のかえしに、今野はおどけてみせた。
 こういう、べたなぼけつっこみをすんなり
できるのも、気のおけない同志ならではだ。
「まったく、大人じゃないな。いつまでたっ
ても」
 横でゆかりが呆れる。
「受付、ごくろうさまです」
 僕は、改まって言うと、会費を渡して、中
へとはいった。
 
 
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