海のみえる街


「どうしたの?ちさ。たっちゃんになにか言われた?」

「…………ちがう。龍太郎は私になにも言ってない。」


ぼそりと小声で呟くちさの目は次第にうるうると涙がたまりだした。


「そんなわけないでしょ!そんな泣きそうな顔して。なんかたっちゃんが言ったんでしょ?」


「う……う……うわーーーん!!!」


「え!?ちさ!?」


ちさはいきなり堰を切ったように泣き出した。
気づけば、クラスのみんなはどうしたことかと私をガン見している。私が泣かしてるみたいじゃない!


「ちょっと、ちさ!ひと気のいないところで話そうか!」


私はちさの手を引っ張って女子トイレに連れて行った。




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