俺が唯一愛した女 (1話から公開開始)
「よし…そろそろ開店準備だ!」
琢磨サンは
入り口にかけた準備中の
札を営業中の札に裏返す。
『今日は帰る』
俺は立ち上がりにっと笑うと
軽く手を上げそのまま店から出た。
琢磨サンが営業する店は小さなバーで
客は特別多い訳でもなく常連客がほとんど。
なんだかんだ話して
何時間店に居たんだろう
電灯が付いた町を
自分の家の方面に歩いた。
夕方の街並みは昼とは逆で
慌ただしく人が通り過ぎる
そんな中
ふと、ギター片手に路上で歌う
二人組を見つけた。
人ごみの中で俺は立ち上まった俺は
目を閉じたまま
耳に全神経を集中させて
不思議と惹かれる演奏を聞いた