俺が唯一愛した女 (1話から公開開始)
「いらっしゃい優斗!」
俺は
琢磨サンに対して返事をせず
いつものカウンター席に座る。
「かなりイラついてるな…何かあったか?」
『話しかけるなだって』
「…は?」
主語のない俺の話しに
思わず聞き返して来る琢磨サン。
『優衣』
「優衣って誰?もしかして彼女か!?」
琢磨サンは
返事を返さない相手に
不気味な笑みを向ける。
『な、何だよ…』
俺はニヤニヤする琢磨サンに苦笑
「いやー俺は嬉しい!優斗が…」
『は、嬉しいって何?話しかけるなって俺は全然嬉しくねえし!!』
立ち上がり珍しく声を張り上げる俺
「いや…その話と別。まあそんな怒るなって!きっと何か理由があるんだろ?」
理由?
優衣と付き合い出してからもう四ヶ月になるのに突然話しかけるなって…納得いかない。
もうすぐ十一月…
草木は枯れ、暑い季節は完全に終わり世間は肌寒く冷え込む季節に入っていた。