俺が唯一愛した女 (1話から公開開始)


さっきの電話の男の声聞き覚えがある…



独特で、苛立ちを覚えるあの声は
俺を殴った奴の声と確かに同じ物だった。



店に入ると
この前と同じ奥の席に居るえみを見つけて



「優斗…」



えみは俺に気付き慌てて顔を反らす。



『… アイツ等は?』



問いかけられたえみは下を向く。



「ごめんなさ…い… 」



えみは俺を見ず
震えた声で謝る



『… アイツ等はどこだ』



「……。」



俺は


無言で下を向くえみの
前髪を乱暴に掴み上げ



無理矢理顔を上げさせる。



『聞こえね-のか?』



真っ青になるえみに
俺は低い声で再度問いかけた。



「痛い痛い痛… この先の店…」



それだけ聞くと


俺はえみの前髪を離し
無言で店を出て行った

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