俺が唯一愛した女 (1話から公開開始)


『何で… 』



「……。」



『何でだよ… 』



不思議だよな



悲しいのに涙が出ない
苦しいのに涙が出ない



「優衣ちゃんな… 」



章司はゆっくり話し始めた。








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章司の話しは優衣の事だった。



部屋に引きこもっていた優衣は
俺を止めようと慌てて家を飛び出して



信号無視のトラックに…








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『……。』



俺は冷たくなった優衣の手を握る。



『優衣… 愛してる… 』



クリスマスの日



優衣に指輪を渡して
言おうと思っていたこの言葉



『愛してる… 』



こんな形でじゃなく



生きてる時に目を見て
ちゃんと言いたかった。



何で… 何でこんな突然…
何でなんだよ!!!!!!!!



『優衣… いつもみたいに笑えよ、ありがとうって照れて赤くなれよ… 』



俺は狂ったように笑い出すと同時に
目から大量の涙が溢れた。

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