俺が唯一愛した女 (1話から公開開始)


「優斗」



『なに?』



「彼女の事聞いたよ」



『…そっか 』



琢磨さんは水浸しの携帯を
タオルで拭き俺に手渡す。



「ほら、携帯… 付くのかな電源。大事にしろ」



" 怖い "



携帯を見ると優衣の事を思い出す



車の衝突音。



俺を呼ぶ声。



優衣の最後の声が
俺の頭の中で何度も何度も…



" お前のせいだ "



" お前が殺した "



" 優衣を殺した "



" お前のせいだ "



" 人殺し… "




頭の中で誰かの声がする。



『… 黙れ!黙れ!黙れ!』



俺は壁に向かって携帯を投げつけた



「優斗、しっかりしろ!!!」



『琢磨さ… 』



また意識が朦朧とする



「とりあえずそろそろ店… 開店準備あるし… よし、ほっとけねえから優斗、店に来い!!」



『店…?』



これ以上琢磨さんに迷惑かけられない



「なんなら泊まってもいいんだぞ?」



『いや、大丈夫』



俺は心配そうな顔をする琢磨さんに
心配かけないよう作り笑顔を向けた。



『琢磨さん、俺は大丈夫だから。ほら店戻れって… 開店時間間に合わなくなるって!!!』

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