俺が唯一愛した女 (1話から公開開始)
「音楽… 俺は嫌いなんだよね〜」
『は?何で… 』
彰人は俺の問いかけに返事を返す事なく
無言でそのまま歩き出す。
『おい、待てって!!』
「ん~?」
歩きながら話す俺達は
神社の前を通りかかる
音楽が嫌い?
その台詞たった今目の前で
鼻歌歌ってた奴の台詞かよ
「…矛盾してると思った?」
そう言って微笑む彰人は
神社の石段に腰を下ろす
『言ってる意味解らねえし』
同じく俺も彰人の隣に腰を下ろす。
「変だよな、こんなの」
『…彰人?』
突然、声のトーンが下がった
彰人の横顔はどこか寂しそうで…
『……。』
訳ありなんだなと感じつつ
俺は言葉をかけてあげられなかった。