俺が唯一愛した女 (1話から公開開始)
『その人って…』
「アイツは3年前に死んだ。俺との思い出も俺の存在も何もかも全部忘れてな」
『死…』
俺の言葉を遮る様に
彰人は鞄から3つ折りの
白い紙を取り出し俺に手渡す。
『これは…』
文章?
渡された紙の開けると
文字が沢山並んでいて。
詩?
「……。」
そうだ、これ…
この詩は紛れもなく彰人が
前路上で歌ってた曲の歌詞。
「小上優斗、お前はギター担のボーカリストだったんだろ?」
『何で知って…』
彰人はにっと微笑むと
あの時
路上で歌っていた曲を
アカペラで口ずさんだ
バラード系の優しい曲から
彰人の悲しみが痛い程伝わってくる。
『……。』
俺は目を瞑り彰人の
優しく切ない歌声を聞いた。