シンデレラの王子は。
でもそんな勇気、アタシにはないから、文章を書いたらもう一度書き直して、そんなこと繰り返している内、最終的に、また送れなかったメールが未送信のところにどんどんたまっていく。
アタシは公園に向かった。
当然の如く、高橋彼南汰の姿があった。いつもより気合いが入って、集中しているように見える。アタシにも気づかないようだ。アタシの特等席、ブランコに腰を下ろし、少しだけ揺らしてみた。
『ダンッ、ダンッ、ダンッ…ガコンッ』
「-----あっ、」
珍しくゴールを外した高橋くん。
「居たのかよ」
「うん」
彼からはどこか暗いかんじがして、何かあったようにしか見えなかった。そのままボールを片手で持ち、ベンチにドカッと座った。
「…今日の試合でなんかあった?」
「なんで」
「今日、いつもより暗いから。。。」
「別になんもねぇよ、試合は勝ったし。明日は準決と決勝あるから」
そうなのか~。でも、それなら何故にこんなに暗くなってしまったの!!
「つーか、神谷って彼氏いんの?」
「いや、いないけど…それが?」
「さっき男と二人で歩いてるとこ、俺見たし」
それは違うから!!!!!!本当に。一ノ瀬さんがアタシの彼氏だなんて失礼だぁー。