シンデレラの王子は。
ブレーキのかけることのできないそれを必死で押さえつけて、ここまで歩いてきたのに、ダメになっちゃうよ。
「-----羽海も一緒に行こう?」
「無理だよ…」
アタシは再び部屋に戻り、気持ちを整理しようとする。ベッドの上にふわりと座るってみると、丁度目線の先に原像された写真達があった。それを手にとる。
上から順に一枚ずつ見ていく。
あれ?アタシ……泣いてる。
写真の上に滴が落ちる。一粒、また一粒。
この時、アタシ、こんなに笑ってたんだ。
楽しそうに遊園地のどこかで、ピースしながら笑い合うカップルの写真。アタシがアイスクリームを頬張っているいる写真。君にあーんってしてあげてる時の写真。
どれも君との思い出。すごく大事にしてた。
「-----羽海?」
囁くようにドアの前で言う空未。
前に進んでるつもりになってたけど、全然進めてなかった。もがいてはみたけど、結局ただ立ち尽くしていただけだった。だいっきらいなのに、大好き。
「そんなとこに引きこもってないで、早く着替えて行くよ」
「行かない」
「羽海が辛いのは解るよ。だけど、本当はちゃんとさよなら出来てないんでしょ?」