シンデレラの王子は。

半分こにしてくれた。
多分アタシは、ヨボヨボのおばあちゃんになっても、空未と親友やってるんだろうな。
そんなこと考えてたら、肩の力がほんの少しだけ抜けた気がしたの。
「-----羽海、」
「ん?」
「やっぱダメだったら、すぐに言うんだよ?」
「ううん、もう逃げ出したりしないから…大丈夫。」
無理に笑顔を作った。ひきつってたかな。
結婚式場に行ったら、笑顔でいなきゃ。ひきつった笑顔なんて絶対NG。


予想通り、式場にいる人はにこやかな笑顔で新郎新婦を待つ。アタシってば、場違いの下手っぴな作り笑顔。
新郎が神父さんの前で新婦を待つ。
後ろの大きな扉が開き、純白のドレスに包まれた新婦が入場。ベールの中で満足そうに微笑む新婦は、真っ直ぐに新郎の元へ向かう。今、アタシの真横を通りすぎた。綺麗な人だった。
新婦は親のもとを離れ、新郎の横へ。
神父さんがよく意味の解らない言葉を始める。所謂、結構宣言というやつ。
「では、誓いのキスを」
もうそんなところまでいってしまったのか。恥ずかしげにベールを捲る新郎に、微笑みかける新婦。
直前までは目を逸らさずに受け止めようと頑張っていたが、そろそろ限界だった。


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