シンデレラの王子は。
最後に先生の瞳をしっかりと見て、強がりな笑顔でそのまま家に帰った。
「-----うぅっ、ぅわーん」
最後、笑えてたかな?例え、どんなに強がりな笑顔でも、涙でぐしゃぐしゃだったとしても、笑えてたのならそれでいい。
アタシ、言えたよ。
ほんの少しでも強くなれたかな。
この先、きっとアタシは違う誰かとまた恋に落ちてくと思う。
でもね、先生といた時のアタシは、先生しか知らないの。
だから、思い出としてとっておくよ。今のアタシには忘れられそうにないから。
決していい思い出なんかじゃなかったけど、壁の壊し方を教えてくれたから、恋と別れの大切さを教えてくれたから、…ありがとうね。
“好きだったよ、さよなら”
誰もいない部屋に帰ってきた。
今頃、空未を置いてきてしまったことに気付く。それはマズいと思い、速効ごめんねメールを送る。ソファーの上に横たわって、どこか遠くを見ているとケータイが鳴り始めた。
『決勝進出!!今から見に来い』
架嗄からだった。
決勝進出か。家にいても暇だし、間に合うか解らないけど行くだけ行こうかな。元気貰えるかもだし…
一応、空未にも試合行くこと伝えておかなきゃ。
メールしてすぐに会場にやってきた。